ぺりグ

数えたら今年で6年

ドラマCDでこれ以上のものを知りません

 

ついに配信となるペルソナ3リロードEpisode Aeigis。

あたしはペルソナ3は最初期版をPS2でプレイしていた。ご存じない方はいないだろうが、ご存じない方にも簡単にペルソナ3を紹介する。

ペルソナ3は、ペルソナシリーズの第3作目。アトラスの代表作である「女神転生」より派生した学園伝奇ジュブナイルゲームである。真・女神転生からすると外伝と位置づけられる。ペルソナシリーズは女神異聞録からはじまり、2罪罰ときて、3で転化を遂げる。
従来の同シリーズからよりポップにデザインを変更、ボーカル入りBGMやアドベンチャー的、恋愛シミュレーション要素を加え、時代にあわせたまったく新しいペルソナとして登場した。 

引用:ピクシブ百科事典

 

 


最初期版は2006年7月13日発売。その後、後日譚が追加されたフェス、PSP版、2024年2月2日にフルリメイクペルソナ3リロードが発売されたので、現行機でも難なく遊ぶことができるようになり、ファンとしては嬉しい限りである。
また、リロードのエクスパンションパスという位置づけで配信となる上述内ではフェス版にあたる本編後日譚も現行機として遊べるようになる。2024年9月10日に控えている。気になる方はぜひリロードと合わせてプレイしてほしい。あたしもこの記事を執筆していたら懐かしくなってきたので、買ってプレイしてしまいそうだ。

 

メディアミックスが豊富だったペルソナ4

さて、そんなペルソナ3とはうって代わって、ペルソナ4について本日は取り上げたいと思っている。ではなぜペルソナ3の話からだったのか?というと、ペルソナ3からは従来の同シリーズから一変、P/Dの橋野桂氏が開発に携わっている。続くP4、P5と同氏が担当し、ペルソナシリーズの現在のイメージを根付かせた。
ペルソナ3とは趣向を変えて、ペルソナ4では地方の田舎町が舞台となる。事件なんて起きない、平和で何にもない所だと登場人物たちも辟易としていた町で、不可解な事件が発生し、主人交たちペルソナ使いがその真相にまつわる渦に巻き込まれていく。
P3同様、一年間のRPGパートとアドベンチャーパートを掛け合わせた学園ジュブナイルは今作でさらに磨きがかかっている。3で跳ねて、4で誰もが知るRPGに名を連ね、5で爆発的な売上を記録した。この基幹となるRPG×アドベンチャーシステムはよくできており、先日も紹介した新作RPGメタファーでは橋野桂氏がファンタジーRPGの新時代を切り開くとして制作に意気込んでおり、同システムもうまく進化させながら織り込まれている。
正直ペルソナ3以降のタイトルファンなら誰しもが、手にするであろうメタファー。本当に楽しみだ。
ペルソナ4はシリーズでも多くのメディアミックスが成功を修め、派生作品がゲームとしても制作されたほど。ペルソナシリーズは詳しくなくとも、鳴上悠の名や他人気キャラの名を聞いたことがあるだろう。ゲームでは主人公はネームレスとして登場するが(プレイヤーの分身)、メディアミックス作では上記名を便宜上使っていたりするので、そちらが浸透している。

 

ペルソナ4ドラマCD


さて、そんなメディアミックスの話題がでたところでようやく本記事のタイトルであるドラマCDについて拾っていく。
あたしが申しているドラマCDとはこちら。

 

 

ドラマCDシリーズがペルソナ4のものとしてVOL.3まで出ており、P4ゴールデンとしてVOL.2まで計5本。
いづれも主人公の声優は一貫して浪川大輔氏だが、こちらでは主人公の名は表沙汰にされない。キャラクターが主人公を呼ぶときはゲーム内での呼称を使って語りかけられる。ドラマCDでそんな名前を呼ばないでドラマが成立するの?とまず疑問に思う方もいるだろう。
ご心配の通り、ドラマCDとは音声コンテンツであるため、映像がまったくなく声優さんの演技、効果音、BGMでドラマが紡がれる。なので、名前を出さずに、今誰に話しかけているか?が、すぐに判別できないといけない。「ん?」と思った途端に次の台詞がくるため、一気に話についていけなくなり、あれよあれよと話が進み、巻き戻すのも億劫で聞くのを辞めてしまう。なんてことになりかねない。
しかし心配ご無用。
基本的にはゲーム準拠なので、キャラ同士の関係性などはゲーム本編をやってから聞いた方が当然いいが、本ドラマCDでは聞いているとなんとなく関係性がにじみ出てくるので、必ずしも初見殺しということはない。
何ならまったくミリ知らの方がこの記事を読んでいたら、ちょっと聞いて試してみて欲しい。そして感想をコメントして教えて欲しい。あたしはきっと初見でも十二分に楽しんで聞くことができると思っている。
ドラマCDとしては結構逼迫したムードのゲーム本編(いや肩の力が抜ける描写もある)とは打って変わって、主人公一味の平和で色づいた日々に出会うことができる。ただまあ時系列的には、本編の裏でこんなこと起きてました的な内容となっているので、ややネタバレ部分もあり、本編をプレイしたあとの方がより楽しめることは間違いない。
それでもミリ知ら初見でも大丈夫!と豪語できるのは、キャラクター全員が愛おしくなってくるからである。

 

カルガモの親子じゃんふがふが


そもそも本作ペルソナ4のキャラたちは全員愛おしい。こんな良い子たちと、もっと一緒にいたい!ずっと一緒にいたい!とラスボスを倒すのがイヤになるくらいあたしは感情移入していた。
本当に誰一人愛せないキャラがおらず、「あー、これこれ!もうめっちゃ好きっしゅ!」とふがふがしちゃうくらい。
P3が都会的な舞台だったためか、登場人物もちょっとスタイリッシュが洗練されていた。歯に衣着せぬと、都会っぽいわあこの子ら、これ以上踏み込んでこないよね付き合い方が、みたいなところがある。よく言えば上品な雰囲気。
いや、P4が田舎だからって、都会と比べて下品ですよというわけはまったくない。P4のコミュニティ内には田舎出身の子ではない子もいるし、コテコテの田舎っ子たちのちゃきちゃき人情話というわけでもない。ただ、うまく距離感などで表現されている通り、本編内でも心を開いてからの関係性が近くてとても人間くさい。現代の若者の悩みや繊細さをしっかりと入れつつも、なんというか、人と人が集まっていても違和感がないのだ。もういつも一緒よこの子ら。仲良すぎんだろ!と激甘角砂糖を大量に口に放り込まれた感を覚えるほど。
本編でもべったりだけれど、ドラマCDなんて連みに連みまくっている。カルガモの親子か!と言いたくなる。仕方ない。他にプレイスポットがないのだ。田舎もんたちは群れてなんぼじゃい。
という舞台設定的な違いはさておいて、ちょっと本当に声を聞いただけで、「うん○○がしゃべってる」と一言でわかる。いや最初の一音というか、子音でわかる。「ヘイ」と声かけた「へ」の「h」の部分でわかる。
いや違うんだ。待ってくれ。
そこまで聞き込んであたしの耳が調教されているからではない。
本当に、本編をプレイ後ドラマCDを聞いただけでこうなる。


うそじゃない。
試して欲しい。訓練されたファンでなくとも、声優さんの演技が素晴らしすぎるせいで、一音で総てを理解できるようなるのだ。
そう。声優さんの演技が素晴らしいのである。
もちろん音声ドラマとしての脚本演出も、非常に耳になじむようにスッと入ってくる構成にしてあり、大変デキがいいのであるが、それ以上にキャラの息吹きを高濃度の解釈で表現している演者の腕が神がかっているせいだと思う。
ここらへんはゲームで一度演じていたからなのか、脚本演出のおかげなのか、制作の現場がどうだったからこうなったのかはわかりかねるが、とにかく演者の各キャラへの解像度が半端ないのである。
聞いてみたらわかると思うが、台詞として文字がない部分にまできちんとキャラとして息づかいが入っている。だから一音目から判別が可能になる。
しゃべり出しで、もうこれはこのキャラがしゃべっているなと分かり、聞いているあいだずっと、声優名が浮かんでくることはない。もうキャラ名しか浮かんでこない。わかるだろうかその感覚。共有していただけるだろうかその感覚。
声優さんはキャラクターを演じているわけだから、当然、声優さんという職業として声を吹き込んでいるだけなのである。当たり前のことを言っていると思うだろうが、当たり前のことを言っている自覚はある。
その際、どうしても「(声優名)さんだな」と耳が肥えてくると、聞き取れるようになる瞬間がある。これが、本ドラマCDにおいては徹頭徹尾ない、というわけなのだ。

 

 

 


初っ端から「(キャラ名)だな」と聞き取り、主人公に話しかけていても、「キャラ名」からの声かけなので、当然この呼称で、当然こんな具合に話しかけるだろうということがつぶさに理解できるよう作ってあるので、耳から脳への伝達が恐ろしくシームレスで大変聞きやすい。
小説でも「セリフ」の部分で誰がしゃべっているのか?への脳の理解が早いと、するするとお話が入ってくる感覚と言った方がわかりやすいだろうか。それがドラマCDなのに同様の現象が起きているということだ。
普段から「聞く訓練」をしていない人は、ラジオやラジオドラマのしゃべりのスピードについていけないらしい。訓練とはいっても特殊なことをするわけではなく、人の話をとにかくたくさん聞くだけなのだが。学生時代、入試で英語のリスニングを勉強したことを思い出して欲しい。あれと原理は同じ。
聞けば聞くだけ、耳が受け取れる音声コンテンツの解像度は高まっていくが、それでもセリフにすぐ理解できない取っ掛かりがあると、そればかり気になって、脳が次のセリフを入れることを拒否してしまう。紡がれているセリフはどれもこれも、現代の学生が触れる当たり前の語句で当たり前に使われているであろういわゆる平易な言葉たち。
特別、小難しい劇中の設定もなく、小難しい言葉も登場しない。ひたすらにリアルで、おはなしというファンタジーでありながらも、聞く人を選ばないリアルがそこに存在する。だから「この最小限の表現で多くの人に伝わる」というセリフだけで構成していて破綻がない。どこにもまったく無理がない。聞いても聞いても心地良い。
あたしがここまで感じ取れる音声だけのドラマは、これ以上のものに出会っていない。ゲームとしてのドラマCDの最高峰のものだと思うし、音声だけのドラマとしても抜群の価値があると思える。
創作や同ジャンルの制作に携わったことがある身としては、死ぬまでに一度同人としてでも何でも、こんな風に太鼓判を押してもらえる音声ドラマを創ってみたいものである。

 

 

ドラマCD「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」Vol.1

ドラマCD「ペルソナ4 ザ・ゴールデン」Vol.1

  • アーティスト:ドラマCD
  • フロンティアワークス
Amazon

 

 

 

 

TOP

このページで利用している株式会社スクウェア・エニックスを代表とする共同著作者が権利を所有する画像の転載・配布は禁止いたします。
(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.