ぺりグ

エッセイ・ボードゲーム・台本・ラジオパーソナリティ・ボイスサンプル、ぺりグにはわたしのすべてが詰まっています。

前橋ウィッチーズ10話まで一気見した魂の一万文字感想

もみ殻

声のご依頼お受けします。
(サンプルボイス➡クリック

12話の感想をまとめました。すばらしすてきなアニメありがとうございました。

perig.net

(2025.7.2)

 

www.maebashi-witches.com

今(10話め公開後〜11話め公開後)、公式サイトがたいへんなことになっている前橋ウィッチーズ。

キャラクターの頁へ飛んでも、この始末。

 

ミリも知らんひとが見たらこの子が主人公かな?と錯覚する

 

とにかくここからは、

前橋……前……えーと、なんだっけ?

前橋なんとかを一気見してしまった筆者による「暑苦しい文字の羅列」をお届けする。

これはテレビアニメ放送中の「前橋ウィッチーズ」のことしか書かれていない記事のため、どうしても抵抗感がある方はブラウザバックでお願いしたい。けれども、上記の、のっぴきならない事態の異様さに何かを感じ取ったあなたはぜひ観ていってもらいたい。

一気観してしまう魔力

この春から放送のアニメで、全12話と言われている本作。

群馬県 前橋市を舞台に、「最高に刺激的な魔女、私たち前橋ウィッチーズが、あなたの願いを叶えます。」というふれがきとともに、5人の魔女もとい、魔女見習いたちがそれぞれの魔女になる理由を胸に集められてさまざまな人間模様を織りなし、若者たちの成長や悩みを描き出した作品だ。

もともと、ハライチのターンでハライチ岩井が語ったエピソードトークを聞いたことから、筆者はその存在を知ったものだ。

同ラジオでかかった楽曲のキャッチーさもさることながら、12話を一気に観て心を動かされたという岩井の発言に、いつか観ようと思ってはいた。

ラジオで紹介されたのが、4月のことだったと記憶しているから、本当ならすぐに視聴を開始して追いついてもよかったのだが、おそらく、「1話完結型のストーリーではない」のだろうと名推理をしたため、このタイミングでの一気視聴と相成った。

1話完結型のストーリーではない」とはこの場合、事件が発生して→解決というプロセスを1話単体でこなしていないものと定義する。1話完結型の2時間ドラマなどとは違って、事件の解決に複数話を要したりする、この手法は、いいところで「ヒキ」をつくることができる。このヒキが機能して、ひとつの事件は解決をみたものの、別の事件がすぐさま到来するといった視聴者を飽きさせない工夫を組み込める。

また、劇中時間を大幅に進められたり、キャラクターを深掘りしていく「担当回」をつくれたり、回をまたぐことで大どんでん返しを仕掛けやすいことなどが利点にあげられる。

事実、前橋ウィッチーズでは「フリ」と「回収」のバランスが絶妙ながらも、各事件を解決しているようで解決していない。さらに、大きな縦軸(物語最大の疑問)が脇に置いておかれたまま目先の事件へと取り組んでいるため、毎週毎週テレビにかじりつくことで、一週間を待つ楽しみがふくらんでいくようにしてある。連続ドラマであることの手段を活かしたストーリーの構成がばつぐんにうまい。

脚本家「吉田恵里香」の魔力

シリーズ構成・脚本で参加している脚本家を調べた。

吉田恵里香:ドラマやアニメの脚本を中心に執筆している作家。最近では2024年前期連続テレビ小説『虎に翼』の脚本を担当するなど。アニメでは「TIGER & BUNNY(共同脚本)」「ぼっち・ざ・ろっく!(シリーズ構成)」

もっと気になる方はぐぐってほしい。おお~。という実績をお持ちだ。

この前橋ウィッチーズのぐっとつかまれる物語の出来は、ひとえに脚本家の腕だと断言できる

たった12話。されど12話。

長いような短いその尺のなかで、過不足なく台詞がならび、芝居をひきたてる。

それはまあ演出の腕も必要だが、脚本のチカラも捨てられない。

何を言葉とするか。

きっと意味のない言葉に聞こえるようでも、意味があるのだろうと思わせるその台詞たち。物語は台詞のセンス。その嫉妬するほどのセンスが、前橋の魔女見習いたちの魅力を十二分に引き出している。

台詞というのは、「耳で聞くもの」だから、何も考えずに見ていると、根付かずすりぬけていきやすいものだが、だからこそ、耳に引っかかる台詞というのは、物語において何にも代えがたい宝玉だ。一度、胸に宿ると、ずっとそこにとどまり、ひとの心をかき乱す。まさに魔力が込められる。

楽曲と物語の融合が織りなす魔力

この記事は下↓↓に読み進めていくにつれて、ネタバレの度合いが濃くなっていきます。それにご注意されて読んでいってください。オナシャス。

さて、劇中に流れる楽曲についてだ。

ハライチのターンで流れた楽曲はOPテーマ「スゴすぎ前橋ウィッチーズ!」

 

 

petal(ぺーたる)占いありかな?なしかな?忘れなグサッと初志貫徹!フゥー!

petalって花弁とか花びらという意味。なーるほど、ぴったりの歌詞だ。上のYouTube動画の概要欄に歌詞が載っているのでみてほしい。

いやぁこのキャッチーな歌詞最高だなあ(テロップ確認)……

 

作詞:つんく

 

作詞:つんく!?(ブハッ)

 

ゲホッゲホッ。

びっくりしたあー。(お茶で口まわりびっちゃびちゃ)

ちゅ、中毒性があるはずだ。(初代モー娘。世代)

そういえば初めてのアイドルライブ、いや音楽ライブにいったのはモー娘。がはじめてだったな。

ライブに行くまでハマったアーティストといえば、モー娘。→μ's(ラブライブ!)→南條愛乃なので、遍歴としては偏り過ぎている。

そんな筆者が、この前橋ウィッチーズに「ラブライブ!」みを感じ、このOP曲に心の臓を鷲づかみされるほど惹かれたのは、ある種、運命的なものがあるのかもしれない。

ラブライブ!といえば、作劇中にアイドルのライブ映像を取り入れ、その3Dキャラがハイスペックパフォーマンスを繰り広げる。そしてその映像を背負ってキャラクターの声優たちが歌って踊るというライブ演出で一世を風靡した。

そういった演出がなされる作品は数多く生み出されてきた。ラブライブシリーズにおいても、その血脈は受け継がれている。

いまにはじまったことではない。なのになぜこんなにも惹かれたのか?

この作品内で流れる楽曲は、ラブライブ!と同じく「そのシーンで挿入される意味がある」ものとなっている。

キャラクターたちの心情を克明に描写し、その歌唱でもって、この物語の根幹である「願いを叶える」行為としている。

ミュージカルであるかのように、キャラクター同士の会話で進む物語に、とつぜん歌を歌っているライブシーンが挟み込まれる。これをそういうものと認識せずに観てしまうとなんなんだこれは?ドラマを見せたいのか?アイドルライブを見せたいのか?ふんがーなんなのだこの作品は!?

と、頑固おやじが怒り出すこと間違いなし。

だが、このミュージカル的な構成である必然性が、前橋ウィッチーズの設定には組み込まれているし、「歌をうたう」必要が、もちろんあるのだ。

そこを読み解けるようになってくると、ラブライブ!もおどろくほど涙を流せる作品なのでオススメだ。

……ん、前橋ウィッチーズの制作は「サンライズ」なのか。……サンライズぅぅ!?(ラブライブシリーズも制作はサンライズである)

サンライズらしいマイクの機械仕掛けにロボみを感じたから、そうじゃないかとは思っていたが!(←配信アバンのロゴで気づけ)まあ、なんというか、いろいろ納得である。スクライドといいガンダムといい、筆者はサンライズアニメが好きだ。

 

まずはサンライズらしさ全開のマイク抜刀シーンだけでも見てくれ

(開始位置:該当カット)

 

ラブライブ! はみんなで叶える物語。というキャッチコピーがあった。それは、雑誌のいち読者投稿型企画からスタートしたラブライブ! ならではのコピーであった。

それに対して前橋ウィッチーズはいったいだれの願いを叶える物語なのか?

魔法ものを扱うときに意識するべきは「願い」「こうであってほしい」「こうだったらいいのにな」が叶うのが魔法の根幹となっていること。魔法は、願いの具現であるということ。現実ではそんなこと叶わないから、魔法である意味がある。魔法を使えるということに意味が見出せる。

キャラが歌う説得力……せ、あ、魔力

しばしばアイドルものでは、ライブパフォーマンスを描く必要性に駆られる。

しかしキャラクターたちが、舞台さばきを何の努力や研鑚もなしに身につけられたか?と疑問視すれば、ちょっと強引な演出もあるだろう。

引き合いに出しているラブライブ! は、スポ根ものであるゆえ、急な成長はあれど、きちんと舞台に立てる努力をしている描写がある。ただそれにつけても、急ごしらえで楽曲が完成したり練習時間に比例しない完成度のライブパフォーマンスが披露されるわけだが。(同じラブライブという舞台で競っているライバルとの差を感じられない、というか圧倒的な人気を誇るというライバルですら初舞台でごぼう抜きしてしまえるほどの完成度。)

劇中で歌っている楽曲は、物語の設定上、完成度としては高くないものの、それを見ている物語世界の人々には、輝いて見えているという演出が裏にはある。実はそういうことなのだが、そんなことはテレビの前の視聴者にとっては知ったことではない。わざわざ色眼鏡をつけてご覧ください。とは書けないわけである。MVの完成度、楽曲の完成度、歌唱者の完成度。どれをとっても、CDにして売り出せるほどのレベルであり、それに納得しているからファンはCDを買うのである。

厳密にいえばこのように、劇中楽曲(ライブパフォーマンス)を有効に物語のなかに組み込んで演出することは難易度が高いと言わざるを得ない。

しかし前橋ウィッチーズは、そこのハードルを「魔法で勝手に歌が歌えるようになった」という力技で飛び越えた。

気合いでも根性でも、練習量でも才能でもない。

魔法で衣装・舞台演出を補い、魔法のマイクを通した歌声が、悩んでいる誰かの心に花を咲かせる。人の心を打つのだ。まさに本物のアイドルであるかのように。

それは魔法少女ものでありながら、アイドルものであるという。一挙両得な本作ならではの発明と言っていい。……失礼。発明は言い過ぎた。同じような設定はあるものの、非常に洗練されたアニメに仕上がっているため、設定に無理がない。

魔法なんてありえないのに、これは本当に現実にありうるかもしれない。と思わせてくれる。

いま、群馬がアツい!地域活性化アニメの魔力

アニメ×町おこし。

地域を活性化させるため、地方の町を舞台に、聖地巡礼などと称して観光客などを人の熱気を呼び込もうという取り組み。

過去にもたくさんのアニメがつくられた。地域を訪れる人が増えたり、そこで人々の交流につながったり、メリットはさまざま。

聖地巡礼という言葉はアニメ「おねがい☆ティーチャー」あたりから定着したものだと思うが、そんな肩ひじ張った単語ではなくもっとフランクに訪れてほしいと願う。私のように身体的に弊害がなければ、ひょいと新幹線・飛行機に飛び乗れば全国どこへでもいける。現地でファン同士の交流などが盛り上がれば、生涯の友だちができるかもしれない。

訪れて会う。というのは人の心が交わる最大の手段だ。

だからこそ、町おこしアニメは「現実に存在する」舞台が描かれなければならない。巡礼できる現実がなければならないのである。前橋ウィッチーズは魔法少女ものでアイドルものという属性を持っているが、前橋という現実に存在する舞台で展開している物語。町おこしアニメの属性も持ち合わせている。

先のセクションで言った、魔法という「ありえない」設定を盛り込んでおきながら、願いが叶ったと思うのは人の心のありようであって、現実には魔女見習いたちと出会ったことがないのかもしれない。そんな詭弁でけむに巻けるくらいには、魔法とは現実味のない設定なのだ。

であるにもかかわらず、前橋ウィッチーズは「現実世界のどこかにいそう」な描かれ方をしている。前橋にいけば、ユイナが、アズが、チョコが、キョウカが、マイが、商店街でチラシを配っているんじゃないだろうか。そんな錯覚を覚えるほど、現実感に溶け込んでいるつくりなのだ。

魔法少女ものでありながら、町おこしアニメにきちんと着地する。この芯のぶれなさは、やはり企画・ひいてはストーリー構成の巧みさに尽きる。

地に足のついていないファンタジックなキャラクター、現実感、そんなものを一切排除した「説得力にこだわった」本作に、サンライズらしさは筆者はあまり感じなかった。一歩先の、これからの日本のアニメーションに一石を投じる説得力だ。視聴者は、深い納得感を得られるだろう。

弩級のファンタジーの権化。それが魔法。なのに現実。令和の世を生きる我々は「納得」を欲している。何事にも透明性が求められる世の中だ。ええじゃないか。ええじゃないか。とは今の若者たちは言わない。ええわけがなかろうが。

さてそんななか、前橋はどんな様子か。

筆者はいますぐにでも群馬に飛びたいが、なかなか叶わないのでネットを徘徊する。

 

www.city.maebashi.gunma.jp

 

前橋市の公式サイトも、とんでもないことになっていた。

6月13日現在であるため、残り2話の展開次第でこの事態は解消となるのかどうか。(きっちり11話終了後解消された模様)

それにしても乗っかったりも乗っかったり。なんとも前のめりに前橋を広報している。とても好感が持てる。ここまでアニメという文化に寛容で、しっかりと利用しているさまを見ると、制作側もファンも嬉しかろう。このPRの前のめりさには、ほかの町おこしアニメもびっくりの食いつき加減。

 

www.maebashi-cvb.com

 

展開されている取り組みだけでも市の「本気度」が伝わってくるだろう。

ここまでやるか。ここまでやれるのか。

ぜひほかの地域も、参考にしてほしい。

どうやら行政も予算を潤沢におさえているようで、シティプロモーション推進として、2025年度一般会計予算でウィッチーズ関連事業に1500万円を計上しているとのこと。市長自ら、魔女見習いたちを印刷している名札を見せアピールしたとある。

市役所の職員の名札も、ウィッチーズ仕様になっているらしく、ますます前橋にいってみたくなる

町が大きなうねりをもって動けば、地域の色が変わる。まちづくりなんて、夢物語。地域は何も変わらない。田舎は田舎。そうあきらめている若者も、ぜひ、ふと地元に目を向けてみてほしい。

魅力的な町おこしをしている地域もあるかもしれない。

というか、前橋は群馬県の県庁所在地だと知っていただろうか?そして人口は高崎市に次いで県第2位ということも知っていただろうか?県庁所在地なのに。まあ地方ではあるあるだが。

どうにも筆者は北関東の3県の並びが明白ではない。え、群馬って真ん中だっけ?あれ、真ん中は茨城?宇都宮って何県だっけ?と、いつもこんがらがる。

 

大好きなカリカリ梅が前橋発祥だったとは……

 

クラファンでおもしろいノートを購入させていただいた印刷会社。SNSの発信や、印刷でできることの取り組みを色々と工夫していらして、好き。

 

いま、とにかく群馬がアツい!

ちなみに筆者は会社の研修中に知り合った群馬県人から焼きまんじゅうを差し入れてもらったことがあるぞ。焼き肉にいくまえに食べたので腹がふくれすぎて困ったぞ。味は最高においしかったが。

きっとμ'sのようにハマっちまうんだ……アタイ

公式サイトのキャラクター紹介ページは冒頭のとおり、とんでもないことになっているので、画像もなにも引用できず、文字だけで恐縮ではあるが、ここで輝かしい前橋の魔女見習いたちを紹介しよう。

赤城ユイナ(CV.春日さくら)

担当カラーはピンク。センターを張る主人公だけあって、物語を強烈に進めていくことのできる「ぐいぐい系」オーラの使い手。しかし彼女の真の顔とは……?

新里アズ(CV.咲川ひなの)

担当カラーは紫色。若者言葉を駆使し、トレンドに敏感なチームのファッションリーダー。辛辣な言動とは裏腹に、デレ風味もにおわせつつ。しかし彼女の真の顔とは……?

北原キョウカ(CV.本村玲奈)

担当カラーは緑色。見栄えのよいモデル体型と落ち着いた口調でチームの精神的な支柱。大人な雰囲気をかもし出すハイスぺお姉さん系。しかし彼女の真の顔とは……?

三俣チョコ(CV.三波春香)

担当カラーは黄色、ハピハピイエロー。陽気でちょっとおバカなふるまいと花のような笑顔が特徴のムードメーカー。ふわっとほんわかな印象が場を和ませる。しかし彼女の真の顔とは……?

上泉マイ(CV.百瀬帆南)

担当カラーは青色。控えめながらもコーディネートはそつがなく、波風たてずうまく乗りこなせそうな言葉選びに知的感。さすがのブルー担当。しかし彼女の真の顔とは……?

そして、こんな個性的な魔女見習いたちを集めたのは、カエルっぽい見た目のヘンテコなやつ。胸の蝶ネクタイに紳士さが垣間見え、いや、そんなこともないか。

ケロッペ(CV.杉田智和)と名付けられたこの生物。生物?生物なのか?

いわゆる魔法少女もののマスコットキャラクターなのだが、10話まで一気観した今となっては、やはり最重要人物であることに間違いなかろう。人物?

物語としては、このケロッペが魔女の店をやるように仕向けるのだが、担当声優とのシナジーで、怪しさマックス。お客は、心から「願い」を求める人の前に現れる扉から入店してくる。物語全体のキーワードでもある「願い」が、ケロッペにもあるのだろうか?魔法少女もののマスコットキャラクターなんてろくなやつがいないが(ド偏見)カギを握っているのは確かだ!

のこり2話でどのような顛末になるか、楽しみである。

このように、紹介したキャラクターはいづれも個性的で、劇中で歌って踊る姿はなんとも可愛らしい。

3Dモデリングとしてよくできているとか、そんな話ではなく、彼女たちが持っている属性それぞれが愛おしく、真の顔を知れば知るほど、ぐっと胸にこみ上げてくるものがある。(いや実際、MVはすばらしい出来)

お客の願いを叶えるようで、もはや自分たちの願いを叶えているんじゃなかろうか、というほど物語とシンクロしてみせる前橋ウィッチーズのライブパフォーマンス。

これを、キャラクターを演じている声優らが歌い感情をこめているため、よりぐっとくるのだ。キャラクターが持つ色をきちんと理解して、音楽に落とし込んでいる。それが何よりも聞いていて心地よい。耳になじむ。物語の整合性に違和感がない。

つくられた楽曲自体のすばらしさも相まって、ライブシーンがなければこの物語は成立していないな、とまで思えるほど。筆者のべた褒めっぷりに、気になったあなたは、一度読む手を止めて、10話まで一気観してきてもいいんだよ?

前橋ウィッチーズ ←アマプラで観たっていい。

一度観たあなたも、もう一度観たっていいんだよ?何度観たって、いいものはイイ。

ここで声優の力量を勝手に推し量って、悪態をつくのはやめるんだ。いますぐにやめるんだバイキンマン。いますぐにやめて、歌唱もこなし、演技もこなし、町のPRやアイドル活動に精を出す魔女見習いたちを愛すんだ。

担当声優たちの成長も、こういった作品の魅力のひとつではあると、筆者は申し添えたい。若手の演者をキャスティングすることの意義や意図というのは、いかに応援したくなるかを視聴者に促してくれるという点だけ着目して、あとは考えてはいけない。

視聴者は、与えられたものを与えられたぶんだけ、手放しで享受する義務と権利がある。

きっとアフレコブースで多くの勉強をしていることだろう。各話のゲストキャラにいまをときめく人気若手女性声優を起用したり、ずっとそばにいるマスコットキャラクターに杉田智和を起用しているのだ。

もう、杉田はお父さんだ。若い子たちを見守るお父さん。親せきのおじさんかもしれない。ただのいい声の親せきのおじさんだ。

きっとこのアニメが最終回を迎えたとき、彼女たちは大きな成長を遂げているだろう。それも楽しみであるし、この物語が終幕したらきっと筆者は、前橋ウィッチーズのアニラジを一から聞いて(聞き逃し配信があるのかは知らん)きっと担当声優の面々にハマってしまうのだろう。そう、南條愛乃の時のように。南條愛乃の時のように!!

まんまと、ハマってしまうのだろう!しばらく彼女たちの歌声を耳に流し込みつづけるのだろう!

しかしラブライブ!みたく、劇的な幕切れでロスったらどうしよう。という不安はぬぐえない。

あの時は、μ's伝説の東京ドームライブの後、関連楽曲さえ聞くことができないくらい落ち込んだからな……。尾を引いたもんだ。ラブライブおじさんの業は深い。

なにとぞ、希望に満ちた最終幕を迎えてほしいものだと切に願う。(このまま魔女見習いたちが帰ってこなければ、前橋市もとんでもないことになるぞ!)

1話切りしたという方へ向けて

「魅力」を「魔力」とかけて見出しをつけてきたが、力尽きた。

すでにSNSでも語られているように、1話切りをしたあなたも、致し方ない部分はあろうかと思う。

というのも、これは赤城ユイナが主人公だ。魔女見習いたち全員が主人公ではあるが、基幹となるのはユイナだ。

物語をぐいぐい引っ張っていかなければならない主人公の性質上、どうしてもラブライブ!で言うところの、高坂穂乃果のような強引さは求められる。話数の限られたなかで、キャラクターたちの魅力にスポットを当て、ぐっとフォーカスしていかなければならない。主人公はそのようなシナリオ進行においては、酒の肴、アテのような立ち振る舞いに終始する必要にかられる場面もあるのだ。

穂乃果は、ぶっちゃけちょっとついていけない強引さがあった。

視聴者を置いてけぼりにする強引さとでも言おうか。

ユイナにも若干その気配があった。

人間が行動を起こすときに「動機」「目的」は芯から必要である。まったくこの部分をないがしろにしたまま、人間ドラマを見せられても、いつまでもピンとこないことこの上ないだろう。

はっきり言って、第1話における主人公ふたりに共通する行動の「動機」「目的」が、ちょっと弱いというのは致命的にも思える。第1話で切ってしまったとしてもまったくその視聴者を責めることはできない。

主人公らが自分事としてとらえていないように映るのだ。

行動には起こす。起こすものの、強い「動機」が見えづらく、キャラクターの輪郭がぼやけている。故郷の村を焼かれたとか、そんな主人公としての悲劇の一幕もない。まあ現実に即した話なのだから仕方ない。村が焼けたなんて悲劇が起きたら、前橋は焼失することになる。嗚呼、地元アニメ。

ただ、第10話でユイナの想いが少し露見する。

果たしてそれは、この「主人公であるという業」を逆手に取ったような真実であった。

「おっぷユイナっちょりん、そんな想いを抱いてたのぉう、はっぷん(涙)」

はふうー。はふうー。と涙あふれた筆者であるが、深夜にディスプレイに反射したキモ面はキモかった。四十手前でアニメに号泣するだるんとしたあごとひげ。ただただキモかった。

さてユイナの「目的」は、のこり2話でどのような結末を迎えるのか。魔法で、アイドルで、町おこしで、どうにもそのすべてのファクターがぎゅっと結ばれるような期待をしている。

視聴者の想像どおりに終わるわけもなく、きっともう一波乱。それを観とどけよう。見落としている何かがあるような気がする。そんな思いに駆られるアニメ。考察のはかどるアニメ。12話を見終えた後にもう一度、第1話から見返したいアニメ。

そんなアニメに出会えたのは久しぶりだ。

第1話で観るのをやめてしまったあなた。まだ観たことのないあなた。

まだ間に合う。

きっとこの第10話で一気に追いつけるように、つくってあるんだ。さあ、あなたも一緒にいこう。前橋に。魔女見習いが歌って踊る前橋へ。

 

 

 

 

 

TOP

このページで利用している株式会社スクウェア・エニックスを代表とする共同著作者が権利を所有する画像の転載・配布は禁止いたします。
(C) ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.

株式会社アトラスに関わる画像の著作権、その他一切の知的財産権は、全て株式会社アトラスに帰属します。