ゼルメアというものにはもう関わりたくもない。
そう思いはじめたのはいつからだったろう。
最初のうちはよかった。
掛け値なく最新装備が手に入り、ダンジョンの仕組みも、ちょっとした面白さだった。
しかし、潜り方に慣れ、物珍しい風景に写真を撮る手を下ろした頃からだろうか。
具体的に言えば、遺跡の大家とか言う、大げさな称号をもらい、「うわ、もう100回も、潜ったのか」と客観的にその事実を受け入れはじめた頃からだ。
他に何も望まない。
ただ、ただ、ひとつの装備が欲しかった。
その称号は、ぺりめにが、100回も「闇エトワール」を求めて遺跡を探索したという事実を、冷酷に伝えてくる。
そしてそれは称号を手にした現在も、果たされていない。
空を仰いだぺりめには思う。
せめて、あの頃、純粋に楽しみ、このコンテンツを報せようとしていたごとく、残った大量のフォトグラフを供養したい。
そう。
こうして、ウロコを手にして、笑っていた頃のように。
ヴァイオリンなんか弾いちゃってたときのような、はしゃぎようで。
ぺりめには、このしるしを見つけるたびに、下の階にはいい装備がありますように。
と祈りを捧げていた。
何ひとつ
得られるものは
ないというのに
ガサ
ガザザザ
ピガー
ガスっ
あれ?
おや?
ここは?
ああ、そうだった。
きょうは、ゼルメアのブログを書くんだったな。
ハハ。
いけないいけない。
ぼうっとしてた。
んじゃ、行きますね〜。
さ、ついに来ましたゼルメア5階。扉を開けますよ。楽しみだなあ。
おおっ!
なんか!
立ちはだかるモンスターも禍々しいのばかりだなあ!
よっしゃ、初見だけど、下の階には行けるぞ!
うわぁ、一段と濃いな…目に見えて瘴気が。
なんか吊るされてる魚のオブジェも、心なしか、何かを訴えかけてきているような。
ここにはナニモないぞ
吐き出してるのも、これ水とか海水とかのモチーフだろうけど、何とも毒々しいですねー!
ナニモないぞタチサレ
さらに奥へ進むと、どうも立ち入ってはいけないところまで来てしまったような。
小学生の頃、立入禁止区域の金網を突破した時のような、後ろめたさを感じる。
ジカンヲむだにスルダケダ
というか、薄ら寒さを感じるような。
ドワッ!
デケエ!
でもアー!もう一歩で最下層だったのに!
もう一回!もう一回!
やったー!
ゲノミー!
遺跡内で見つけると、やたら嬉しいんですよね!
また挑戦できるって感じで!
ナンドチョウセンしてもオナジコトダ
うほおっ!
オマエ出てきちゃうのかよ!
ウマァ!ゼルメア!ウマァ!
サテ、果たしてソウカナ?
えええっ!?
なんじゃこりゃあ!?
なんか、ひらけた場所に出たぞ!?
あ、これが、噂のはざまの回廊か!
ひょー!強いな敵!
グヌヌッ!
また行き止まった!
しかも強敵!
コリナイやつだ
それから数時間。
たどり着いた!
じつに15個もの聖紋を消費していた…ッ!
でもめでたい!
めでたーーーーーい!
コレカラ、そんなカズ、カゾエルノモおっくうにナル
取リ憑カレテハイケナイ
イケナイ
イケナイノダ
ガサ
ガザザザ
ピガー
ガスっ
え?
あれ?
そこに微かに見えるのは…ぺりめに?
なんか妙な格好で見下ろしてくるぞ?
でもどうしたことだ?
ぺりめにがどうして、見下ろしてくるんだ?
カラダ中が痛い。
おかしいな。
君は誰?
オレ?
オレはたぶん。
ぺにめになんだけどな。
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